武富士 失業保険救済制度でも過払い金は生じる①

2010 年 6 月 25 日 金曜日 投稿者:mituoka

 これは以前にも書いたことのある事件で、「続報」ということになる

 武富士の失業保険救済制度による返済期間をどう扱うか、という問題

 裁判官は本件に関しては一貫して、
 「失業保険制度により支払われていた部分について、原告は不当利得返還請求権(過払い金返還請求権)を有しない」
 という立場を取る

 裁判官は「単純にその期間の返済がなかったものとして扱え」とおっしゃる

 引き直し計算上、その期間がすでに「過払い状態」であれば話は簡単だが、本件は違う

 裁判官の指示通り計算すると、本件は、過払いではなく残債務が存することになってしまうのだ

 「本件は残債がありますので、分割返済を求めます」と武富士側も言いだした

 しかし、たとえば、武富士が残債請求の反訴をしてきた場合、武富士のこんな主張は通らないはず

 武富士の準備書面に、「原告が非自発的失業状態になったことにより、契約に基づき損害の補填として保険会社より被告へ保険金の支払いがなされている。その後、被告が同保険金を顧客サービスの一環として原告分の支払いとして充当している」と書かれている

 誰が支払おうが、どういう経緯だろうが、失業期間中も、原告の武富士に対する借金は順調に減り続け、武富士は債権の満足を得ていたのだ

 あたかも、原告の失業中に 武富士が お金を受け取っていなかったかのような計算 が正当化される余地はない

 そうであれば、なんのための失業保険救済制度だったのか、ということになる

 過払い状態になったのはその後の話であるので、以下の考えによれば、過払い金算出においても通常通りの計算方法で問題ないはず

 武富士側は準備書面において、不当利得請求権が発生する要件は以下の4点だと主張する
 ①法律上の原因がない
 ②被告の利得
 ③原告の損失
 ④利得と損失の因果関係

 また、同じ準備書面で武富士は「本件の保険入金分については、仮に被告の利得があるとしても原告の損失がなく、不当利得の要件を欠き、原告に不当利得の返還請求権はない」とも主張している

 しかし、本件過払い金は、債務が消滅した後に、原告自らの損失(支払い)によって生じた原告の利得なのだから、武富士の論法に従っても、過払い金返還請求権は引き直し計算上の満額について発生していることになる

 おそらく裁判官は、失業保険による支払いが始まったとき既に過払い状態になっている事例と本件とを混同なさっているのではないだろうか

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