大相撲 八百長はダメか?

2011 年 2 月 7 日 月曜日 投稿者:mituoka

 「八百長なんて、けしからん!」という考えを前提に

 「関わった力士を処分して、相撲協会を一新すべき」

 という方向で報道が進んでいる

 しかし、ちょっと待った!

 相撲の全取り組みが真剣勝負で行われているなどと、

 みんな本気で思っていたの? そんなことないでしょ?

    プロレスは、ときどき真剣勝負が見られるヤラセ
    相撲は、ときどきヤラセが行われる真剣勝負

 こんな認識を抱いていた私は、今回の件も、

 さもありなん、と思うだけ

 むしろ、八百長のくせに(?)真剣に戦っているように見せてきた力士たちには、

 「さすがにプロだ」 と感心する

 プロの見事な「技」を披露しているのだから、

 それでけで彼らに金を払う価値が十分あるではないか

 もちろん、全部が八百長ではないことも知っている

 あれは30年以上前

 国民的ヒーロー であった大関・貴ノ花は7勝7敗で千秋楽を迎えていた

 クンロク大関と呼ばれ(クンロクとは9勝6敗のこと)、

 優勝争いには加わらないものの、毎場所、

 堅実に大関の責任を全うしてきた貴ノ花だったが、寄る年波には勝てない

 遂に「負け越し」という屈辱を味わうのか

 千秋楽の相手は当時無敵の大横綱・北の湖

 憎らしいほど強い、とまで言われた不沈艦だ

 まともにやったら勝てっこない

 私はその一番に「八百長」を期待した

 いや、八百長が仕組まれて然るべきだ、と思っていた

 多くの相撲ファンも、同じ思いを抱いていたのではないか

 頼む、今日だけは負けてやってくれ!北の湖!

 しかし、北の湖は蔵前国技館内を揺るがす悲鳴にもひるむことなく、

 実力通り、楽々と、貴ノ花を押し出した

 その瞬間、北の湖は貴ノ花に一礼

 「先輩、お力になれず申し訳ありません」  とでも言いたかったのか

 アナウンサーは 「勝負の世界は非情です」 と言ったあと絶句した・・・

 北の湖が(あるいは貴ノ花が)八百長をしなかったことに私は腹を立てた(笑)

 一方、勝負の厳しさを見せつけられて感動し涙が出てきたのも事実だが、

 もしもあのとき、八百長が行われ、北の湖が負けてくれていたら、

 「モンスター」と言われた彼の意外な優しさに、やはり感動し涙したことだろう

 八百長でも、真剣勝負でも、それが「相撲」という素晴らしい国技だ

 それでいいではないか

 私はそう思う

コメント / トラックバック 2 件

  1. 西川浩之 より:

    こんにちは。

    昔、もう20年以上前ですが、私が東京のアテネフランセという語学学校の講堂で映画の自主上映を見ていたときに、ロバート・アルドリッチという監督の映画が上映されました。

    彼は、デビュー作と遺作がともにスポーツ映画、という珍しい監督で、遺作は「カリフォルニア・ドールス」という女子プロレスの映画でした(この映画の話、前に一度したような記憶があります)。

    で、アテネフランセの上映会では、ときどき、上映の前後に講演会がついていたりするのですが、その講演会で、ある人が、

    相撲という格闘技は、5時半過ぎの取組みはボクシングにというスポーツに類似するが、それ以前、特に5時前の時間帯の取組みは、プロレスに類似するスポーツだ

    という自説を展開し、その根拠として、

    7勝7敗で千秋楽を迎えた力士の千秋楽での勝率は9割を超えており、対戦相手も7勝7敗である場合を除いてデータをとると、勝率は98%を超える・・・という調査結果を話していました。

    (どなたかの最近のデータでは、上記のケースの勝率は8割弱のようですが。)

    そして、その講演では、輪島のような横綱が引退後にプロレスに転向しても、プロレスの世界でうまくやっていけないが、最高位が前頭程度で引退した天龍源一郎は、大相撲引退後にプロレス入りして大活躍できる、という話になり、私も、その話を聞いて、「なるほど」と思い、以後、相撲という格闘技は、時間帯によってボクシングとプロレスの両方の要素を持っているユニークなスポーツだと確信していました。

    なので、私も、いまさら5時前に登場する力士の八百長を云々いうのもおかしいなぁという感想を持っています。

  2. mitsuoka より:

    西川副会長

    こんにちは。まさか、副会長からコメントを頂戴するとは思ってもみませんでした。
    誠にありがとうございます。

    映画「カリフォルニア・ドールズ」について、副会長とお話させていただいたことはよく覚えております。
    刑事コロンボのPフォーク主演の映画でした。

    そうですか、5時半過ぎとそれ以前とは別物、という理論、とても面白いです。
    説得力のあるもので、我が意を得たり、の感があります。

    先日、元有名力士がインタビューで、「給金直し」が係った一番などでは八百長も存在し得る旨の発言をしていました。

    「7勝7敗理論」はまさにそれでしょう。
    私が引き合いに出した貴ノ花VS北の湖の一番も、(あれは5時半を過ぎてからの一番でしたが)もし仮に貴ノ花が「カド番」だったなら、北の湖が負けてくれた可能性があったのかな、と勝手に思ったりします。
    負け越しても、翌場所、引き続き大関でいられるのなら、北の湖も貴ノ花の生活を斟酌する必要などないですよね。

    輪島と天龍の話も大変興味深いものでした。
    北尾や、力道山などについても、同じ視点で語ることができますね。

    八百長問題については、次回の酒の席で続きをやりましょう。
    ぜひお願いします。

    副会長がお忙しいのは重々承知の上ですが、今後とも、お手すきのときには、感想やご意見をお寄せいただけたら幸いです。

    誠にありがとうございました。

    三岡

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