勝訴判決により担保を抹消する

2013 年 8 月 9 日 金曜日 投稿者:mituoka

はじめに断っておきますが、今回はややマニアックな記事です。

興味のないかたは御遠慮ください・・・。

 

Aが所有する不動産に、Bの根抵当権が設定されている。なお、その唯一の被担保債権はCである。

Cはいわゆる売掛債権であるが、Aは昭和60年12月9日を最後に支払いをしていなかった。

【平成25年3月8日】 AがBに対し元本確定請求(民法第398条の19)、その後2週間を経過し根抵当権は確定した。

【平成25年5月9日】 AがCについて消滅時効を援用。

 

上記の事案で、確定後の根抵当権の持つ「付従性」という特性により、根抵当権が消滅したことは法律家ならば誰でもわかる。

 

ところが・・・本件においては、Bはその登記申請に協力しない。

 

それならば、裁判で「勝訴判決」を取ればいい。ここまでも誰でもわかる。

 

さぁ訴状を書こう!

 

登記は、①元本確定の登記と、②抹消登記の『二本立て』となることに異論はない。

原因日付は①については「平成25年3月24日元本確定」。

これも問題なし。

 

しかし・・・問題はここから。

時効の効果は起算点となる上記最終取引日から2年の経過した昭和62年12月9日なので(商法第522条但書・民法第173条1項)、②については「昭和62年12月9日時効消滅」と考えるのが自然。

 

でも、登記の順序からして、(というより日付の順序からして)何となく違和感がある。

 

法務局の登記官に相談してみたところ(せっかく苦労して勝訴判決を得ても、登記できない可能性もある。登記請求事件を提訴する場合は事前に法務局にも相談しておく必要がある)、案の定、「NO」という返事を得た。そして、「元本確定と同時に根抵当権が消滅した、という構成を取れば?」とアドバイスされた。たしかにそうなると、登記原因日付は「3月24日」となり、見た目的に問題はなくなる。

でも、それはそれでやはり違和感が残る。

 

そこで・・・本来、「請求の趣旨」(判決書ではこれが主文となる)において登記原因とその日付も記載するのだが、今回はそこらへんをボカすことにした。すなわち、「被告は、別紙物件目録記載の不動産について、別紙登記目録記載の根抵当権設定登記の抹消登記手続をせよ」としてみた。

 

そうすれば、②の登記原因日付は「年月日判決」となる。日付は当然、①の後。

 

「それならば問題なかろう!」と、登記官からも太鼓判をもらった。

 

本日、判決書が手元に届いた。

約2週間後の判決確定を待って、抹消登記を申請する予定だ。

 

 

 

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