A社が突然の来所

2012 年 8 月 17 日 金曜日 投稿者:mituoka

 大手消費者金融A社(仮名)の支配人が来所した。

 事前にアポをお取りいただいていたわけではないが、用件はわかる。

 要するに今後当方が受任するであろう、A社に対する過払い金返還請求事件について、
 ①提訴をやめろ
 ②3割~5割で和解せよ という話をしに来たのだ。

 「申し訳ないが、話合いの余地はありません

 「そんなこと言わず、まずは当社の窮状について、話を聞いてください

 「何度も聞かされてます。結構です

 テーブルにお通しすることもなく、事務所入り口でお帰りいただいた。

 おそらく、難しい数字をたくさん挙げて、

 A社の苦しい経営状況を説明なさるつもりだったろうが、

 数字に弱い私にとっては 『馬の耳に念仏』 であるし、

 仮に理解できたとしても、今後のA社に対する方針を変更する予定もない。

 A社は自分の窮状については詳しく話したがるが、

 当方依頼人の窮状については聞き耳を持たない。

 原則として、過払い金返還請求についてはA社を提訴していく。

 支配人は猛暑の中、東京支社からわざわざ来所なさった。

 彼の額には大粒の汗がにじんていた。

 なんだかんだ言っても私とて、『門前払い』するのはとても心苦しかった。

 しかし、彼が自社のために必死に頑張っているように、

 私も依頼人のため、当事務所のために必死であることをわかってもらいたい。

 所詮、A社と私は二本の平行線、交わることなどない。

 どちらが正しいとか、間違っているとかの問題ではないのだ。

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