過払い金・借金問題

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コラム

多重債務者がいない社会を目指して

2008/05/28

 一介の司法書士が大そうなタイトルを掲げたものだなぁ、とバカにされそうだ。
 実は、「多重債務者がいない社会を目指して」という文言は月報司法書士平成19年12月号の副題だ。全国の司法書士たちが多重債務問題に大きな関心を寄せている証拠である。

 大学教授や司法書士等、様々な方面から多重債務問題についての意見が寄稿されている。その中でも興味深かったのは、NPO法人女性自立の会・理事 河合直美氏の寄稿であった。
 女性自立の会では、過去に相談に訪れた人の中から無作為に抽出した100人にアンケートを行なった。「返済が困難になり、相談に行くまでにどれくらい時間がかかったか?」というものだ。「六ヶ月以上経過した」と回答した人が全体の6割以上を占めているという。なぜそんなに時間を要したかというと、
(1)お金のことを相談できる場所を知らなかった。
(2)どこが間違いのない相談場所か、がわからなかった。
(3)借りたものは返さなければならないと考えていた。
(4)相談に行くと「怒られる」と思っていた。
(5)「自己破産」は人生の終わりだと考えていた。
 が主な理由だそうだ。

 (1)(2)については私たち実務家の宣伝(商業的な意味ではない)不足によることが大きいだろう。各司法書士・弁護士によるHP等の宣伝、司法書士会・弁護士会の社会への呼びかけが必要とされる。
 (3)(5)は多重債務者の自責の念から来る誤解とも言える。真面目で責任感の強いかたほど多重債務に陥りやすいからだ。しかしこれらは、①違法な利息は返す必要がないこと、②自己破産のデメリットは思いのほか少ないこと、③法律家の手により引き直し計算すれば実際の借金がなくなる(あるいは少なくなる)可能性があること、加えて④過払い金というものの存在 等を知らないことから来る誤解でもあるので、やはり司法書士・弁護士らは債務整理という法的手続きを世の中に知らしめる責任がある。
 
 (4)についてだが、河合氏によると、司法書士・弁護士といった法律家に相談にいって実際に怒られた人も少なくないらしい。ある夫婦は相談に行った直後に法律家から「こんなに借金があるのに車を持っているのは贅沢だ、携帯を持っているなんて贅沢だ、その時計も外しなさい」と矢継ぎ早に言われたらしい。その夫婦はこれに威圧され法律による解決の道を選ばす、その後も返済を続けた。5年後、借金は倍増したそうだ。
 河合氏いわく、「法律家の言葉に間違いはない。しかし、一般庶民にとって法律家は遠い存在。まして借金で心が弱っている相談者にとって、法律家の理論明晰な説明や断定的な言い方は、威圧感を感じさせ、追い詰めてしまう結果になることもある」

 足を踏まれた人にしかその痛みはわからない、大島渚氏の言葉だったと思う。多重債務問題を扱う実務家たちは肝に命じることだ。
 
 


  

 

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