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コラム

司法書士の「品格」 ~登記と債務整理の職域争いに思う~

2008/06/05

 司法書士たちのあいだから、行政書士の「広告」について批判の声が多く聞かれる。会社設立等に関して、あたかも行政書士が登記代理権を有しているかのようなHPが目立つのでそれに対するもの。日本行政書士会連合会はこれを受け、HPにおいて誤解を招く文面を避けるようにと「HP作成に際しての留意事項」を各行政書士に通知するそうだ。

 そもそも行政書士と司法書士は一般の方々から「区別が紛らわしい」とされる。名称も似ている。
 司法書士は裁判所・法務局へ提出する書類作成(登記代理を含む)及び簡裁訴訟代理権による訴訟・訴訟外の代理や弁護を職能とする。これに対し行政書士は官公署(県庁・市役所等)に提出する書類及び権利義務・事実証明に関する書類作成を主な業務とする。例えば農地法関係、風営法許可、外国人帰化等の書類は官公署に提出するものなので司法書士は作成できない。このように行政書士の職域はかなり広い。一方、行政書士には「代理権」がないので書類はすべて依頼人名義(本人名義)で作成することになり、いわゆる「代書」となる。司法書士は代理人になれるので依頼人名義ではなく司法書士名義で内容証明その他の書類を作成することができる。また、行政書士は登記申請についての書類は作成できないことになっている。つまり、司法書士と行政書士は似て非なる職能だ。
 司法書士法改正により簡裁における民事代理権が付与されたことを契機に、代書人をイメージさせる「書士」という呼称に抵抗を感じる司法書士も多くなった。「代書」ではなく「代理」する機会が多くなったからだ。名称自体を変更しようとする動きも司法書士会内で活発化している。

 さて、その簡裁民事代理権が司法書士に与えられた頃、司法書士は弁護士から何かとクレームを付けられた。争いの額が140万円を超える事件について司法書士は代理することができない。債務整理に関していえば、「借入れ金額が140万円を超える」という理由で弁護士からクレームをつけられた例も聞く。しかし「140万」は、依頼人の受ける利益の額で決するのが当然で、借入れ金額が140万を超えていても司法書士が受任できる場合は圧倒的に多い。また、サラ金各社からの総額で140万を超えたら司法書士は受任できない、などという意見もいまだに弁護士のHP上に掲載されている。「多重」債務といっても債務整理事件は1社ごとの交渉が各「事件」であり、全社の「総額」で決するのはバカバカしい。債務整理事件について法務省は「弁護士が司法書士の職域について闇雲にクレームすることで、多重債務者たちが債務整理を受ける機会を失うことになってはならない」という意見を出した。

 さて、行政書士のHP問題に話を戻そう。法律を守る義務は行政書士にも当然ある。行政書士は登記申請をしてはいけない。しかし、司法書士に依頼するより行政書士に依頼したほうがメリットが多いのであれば依頼する人がそちらに流れて当たり前。「代理」ではなく、行政書士が依頼人本人の名義により(報酬をもらわずに)登記申請すれば違法とはいえない。行政書士に司法書士の仕事が流れてしまったとしても、それはHPの問題だけではなく、司法書士側の努力が足りない場合もあるはず。司法書士たちのクレームが、自分たちの職域・生活を守るためだけのものだったとしたら少しおかしい。依頼する人からすれば、受任者がどんな資格を有しているかに興味はなく、どんな仕事をしてくれるかだけに興味があるはず。観客の存在を忘れ土俵上で喧嘩し品格を損なった両横綱がいる。各士業者はこれを忘れることなかれ。

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