武富士に対する判決文紹介 過払い金と残債務を相殺

2010 年 8 月 20 日 金曜日 投稿者:mituoka

平成22年8月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成22年(ワ)第508号 不当利得返還請求事件

                     判   決
原告 A
被告 武富士

                     主   文

1 被告は、原告に対し、204万2690円及び206万0338円に対する平成20年9月2日から平成22年4月28日まで年5分の割合による金員、188万0354円に対する平成22年4月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
3 この判決の主文1項は、仮に執行することができる。

                     事   実

第1 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
   主文同旨
ニ 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

第2 当事者の主張
一 請求原因
1 当事者
 被告は貸金業者である。
2 継続的消費貸借取引
 原告は、被告との間で、平成8年4月6日から平成20年9月1日まで継続的に金銭消費貸借取引を行い、別紙計算書記載の取引日に「借入額」及び「返済額」の各欄のとおり、借入と返済を繰り返してきた(以下 「第一取引」という)。
3 利息制限法による超過利息の元金充当
(一)上記2の金銭消費貸借契約の約定利率は利息制限法の制限利率を超過しているので、各弁済金中、上記超過利息部分は元金の弁済に充当したものとして計算することができる。
 また、被告は貸金業者であり、法律上の原因が無いことを知りながら、過払金を取得した者、すなわち民法704条の悪意の受益者であるから、上記不当利得金に対する年5分の割合による利息を付して返還する義務がある。
(ニ)上記2の取引について、過払金に対する年5分の割合による利息を付して利息制限法による引き直し計算をした結果、別紙計算書記載のとおり、平成20年9月1日の時点で過払金元金206万0338円及び過払利息16万2336円が発生している。
4 よって、原告は、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、原告と被告間における平成20年12月11日から平成21年10月30日までの間の新たな金銭消費貸借(以下「第2取引」という。)による被告の原告に対する貸金債権17万9984円と上記3の原告の被告に対する過払金債権を訴状送達日である平成22年4月28日に相殺した残額である過払金204万2690円及び過払金元金206万0338円に対する平成20年9月2日から訴状送達日である平成22年4月28日まで年5分の割合による利息、過払金元金188万0354円に対する訴状送達日の翌日である平成22年4月29日から支払済みまで年5分の割合による利息の支払を求める。

ニ 請求原因に対する認否
 請求原因中、原告が貸金業者であること、原告と被告間に取引があったこと、取引の入出金については認め、その余については否認ないし争う。

                     理   由

一 請求原因1(当事者)について
 被告が貸金業者であることは、当事者間に争いがない。
ニ 請求原因2(継続的消費貸借取引)について
 原告と被告間に取引があったこと及び原告と被告との間で金銭消費貸借取引が行われ、別紙計算書記載の取引日に「借入額」及び「返済額」の各欄のとおり借入と返済がされたことは当事者間に争いがない。
 上記事実及び甲1によれば、原告は、被告との間で、利息制限法1条1項所定の制限利率(以下「制限利率」という。)を超過している約定利率により、金銭消費貸借取引を行ったことが認められる。
三 請求原因3(利息制限法による超過利息の元金充当)について
1 上記ニの事実によれば、原告と被告間の取引の約定利率は制限利率を超過しているので、各弁済金中、上記超過利息部分は元本の弁済に充当したものとして計算すべきである。
2 金銭を目的とする消費貸借において制限利率を超過する利息の契約は、その超過部分につき無効であって、この理は、貸金業者についても同様であるところ、貸金業者については、貸金業法43条1項が適用される場合に限り、制限超過部分を有効な利息の債務の弁済として受領することができるとされているにとどまる。このような法の趣旨からすれば、貸金業者は、同項の適用がない場合には、制限超過部分は、貸付金の残元本があればこれに充当され、残元本が完済になった後の過払金は不当利得として借主に返還すべきものであることを十分に認識しているものというべきである。そうすると、貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、当該貸金業者は、同好の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるというべきである(最高裁判所第2小法廷平成19年7月13日判決・民集61巻5号1980頁参照)。
 本件において、上記一、ニの事実によれば、貸金業者である被告は、制限利率を超過する約定利率で原告に対して貸付を行い、制限超過部分を含む別紙計算書記載の取引日に「返済額」の各欄の弁済金を受領したが、これについて貸金業法43条1項の適用は認められないのであるから、上記特段の事情のない限り、過払金の取得について悪意の受益者であると推定されるものというべきである。そして、本件において上記特段の事情についての主張、立証はない。
 したがって、被告は、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の悪意の受益者であると推定されるから、不当利得金に対する年5分の割合による利息を付して返還する義務があるというべきである。
3 上記ニの金銭消費貸借について、過払金に対する年5分の割合による利息を付して利息制限法による引き直し計算をすると、平成20年9月1日の時点で過払金元金206万0338円及び過払利息16万2336円が発生していることが認められる。
4 そうすると、原告と被告間における第2取引による被告の原告に対する貸金債権17万9984円と上記3認定の原告の被告に対する過払金債権を訴状送達日である平成22年4月28日に相殺した残額である過払金204万2690円及び過払金元金206万0338円に対する平成20年9月2日から訴状送達日である平成22年4月28日まで年5分の割合による利息、過払金元金188万0354円に対する訴状送達日の翌日である平成22年4月29日から支払済みまで年5分の割合による利息に支払を求める原告の請求は理由があるというべきである。
四 以上によれば、原告の本訴請求は、理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結日・平成22年6月22日)
 静岡地方裁判所民事第1部

 以下略 

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